原文
An open science pathway for drug marketing authorization—Registered drug approval.
PLoS Med 18(8): e1003726. https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1003726
Published: August 9, 2021
要旨
「登録された医薬品レポート」のシステムでは、データ収集前に研究の重要性と方法などについてピアレビューが行われ、データ収集後にはその方法を変えることはできない。
一方で、現在の医薬品販売承認手続は、データ収集後に評価項目が変更されるなど、信頼のあるものとはなっていない。そこで、「登録された医薬品レポート」のシステムを、販売承認のプロセスにも導入し、「登録された医薬品承認」とすることを提案する。
当会議コメント
COVID-19パンデミックにおける全世界で行われた臨床試験のうち、適切なデザインに基づく試験が5%に満たないという分析結果は驚きである(※1)。
COVID-19 関連研究のために、多数の質の低いレビューを最少にし、連結するエビデンス生成、合成、意思決定を助ける “evidence ecosystem” が提案されてもいる(※2)。
今回の「登録された医薬品承認」(Registered drug approval) は、Center for Open Science (※3)が提唱する 「登録された医薬品レポート」 (Registered drug reports) の延長線上にある提案である。
これらの試みは製薬企業から一定の抵抗を受けるだろうが、この経路を介して承認された医薬品は、市場で競争上の優位性を与えられるため、企業にとってのインセンティブにもなり得る。堅固なエビデンスがスピード性をもって求められている COVID-19 の時期は「登録された医薬品承認」実現の好機である。(G.M.)
参考文献等
※1
2021年7月注目情報
FDAの調査では、COVID-19治療薬の臨床試験のうち適切な設計になっているものはわずか5%に過ぎない
https://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=557
※2
The COVID-NMA Project:Building an Evidence Ecosystem for the COVID-Pandemic
Annals of Internal Medicine 2020年9月15日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32931326/
※3
Center for Open Science