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東京小児科医会、 東京産婦人科医会、東京都医師会作成のHPVワクチンリーフレットに重大な誤り~事実に基づく議論を

東京小児科医会と東京産婦人科医会のHPVワクチンリーフレットの重大な誤り

 2020年6月、東京小児科医会と東京産婦人科医会が連名でリーフレットを作り、7月から公開しました。現在も配布・販売されているこのリーフレットのタイトルは「思春期のあなたに“大切なワクチン”があります それがHPVワクチンです (子宮頸がんを予防するワクチン)」というものです。

  「子宮頸がん予防ワクチン」とのふれこみで全国の少女たちに接種されたHPVワクチンによって、全身の疼痛、知覚障害、運動障害、記憶障害等の深刻な副反応が発生しています。こうしたことを受けて、厚生労働省は2013年6月以降、HPVワクチンの積極的勧奨を見合わせており、現在、接種率は大幅に低下しています。ワクチンを推進したい立場の人たちは、こうした現状を変えようと、さまざまなPR活動を行っており、このリーフレットもその一環と考えられます。

 しかしこのリーフレットの記載内容には重大な誤りがあります。

「毎年約3000人の若い女性が命を失っている」は明らかな間違い

 リーフレットには「子宮頸がんは20~30歳代の若い女性に多い病気です」という項目があり、そこに「このがんのために毎年約3000人の若い女性が命を失っています」という記述があります。ほんとうでしょうか?

 国立がん研究センターがん情報サービスの「がん登録・統計」によると、子宮頸がんによる2018年の死者総数は2871人です。そしてこの2871人は、全ての年齢における死亡数であり、「若い女性」に限った数ではありません。

 この統計から作成した次の図を見てください。

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図 子宮頸がんによる年齢階級別死亡数(2018年)

40歳未満の死亡数は137人、50歳未満でみても555人

 2018年に子宮頸がんで亡くなった人をみると、リーフレットのいう「20~30歳代の若い女性」では137人(1+5+43+88=137)と全体の5%です。「子育て世代」ということで年齢幅を49歳まで広げても、その数はあわせて555人(137+165+253=555)と全体の19%です。残りの81%は50歳以上の人でした。

 このような統計上の事実と、「毎年約3000人の若い女性が命を失っています」というリーフレットの記述とは、かけ離れていることがわかります。

 一方で、このリーフレットには、厚労省が現在、副反応の問題でこのワクチンの積極的勧奨を見合わせているという事実は、まったく触れられていません。

誤認に基づく発言を流したままのメディア

  このリーフレットのことを、公開直後の2020年7月13日にBuzzFeed Japanというネットメディアが取り上げました。今もネット上に掲載されている記事のタイトルは

「あの騒動も、このワクチンの存在も忘れられている」 東京小児科医会、東京産婦人科医会がHPVワクチンリーフレット作成

というもの。

 記事では、リーフレットの詳細を紹介した上で、作成を中心的に行った東京小児科医会理事の萩原温久医師のインタビューを掲載しています。その中で萩原氏は「毎年日本では、約1万人が子宮頸がんを発症し、約3000人の子育て世代の女性の命が奪われています」と、ここでも事実に反する数字を強調しています。

リーフレットの回収と訂正記事が必要

 2020年12月、東京都医師会も、このリーフレットの趣旨に賛同して、東京小児科医会、東京産婦人科医会、東京都医師会の3団体の連名バージョンを新たに作成して宣伝しています。

 ワクチン推進のために、専門家が、事実と異なる数値を繰り返しPRすることで子宮頸がんの恐怖を煽り、それをネットメディアが確認せずにそのまま報じる。このような状況がもう半年以上も続いているのです。

 直ちにこのリーフレットは回収されるべきですし、ウェブサイトからも削除されるべきです。また、BuzzFeed Japanは訂正記事を出すべきです。

 そして、東京小児科医会及び東京都医師会は、医療機関等に転載やダウンロードしての活用を呼びかけていることから、既に転載等がされている可能性があり、たとえウェブサイトから削除されても、このリーフレットの間違った情報が拡散し続けるおそれがあります。したがって、各会は、記事中の誤りを明記して、リーフレットの使用中止を呼びかける措置をとるべきです。

 東京小児科医会、東京産婦人科医会、そして東京都医師会に所属する医師の皆さんはどうお考えでしょうか?

 

※ 本要請に対し、東京小児科医会、 東京産婦人科医会、東京都医師会からは、誤りを認める回答書が届きました。
 なお、同様に誤った情報を掲載したネットメディア BuzzFeed Japan にも訂正を求めましたが、回答はありません。

 (2021年4月5日追記)