薬害オンブズパースン会議

薬害オンブズパースン会議のブログです。

【注目情報】COVID-19 メッセンジャーRNAワクチン接種後の心筋炎患者で血中循環スパイクタンパクを検出

原文

Circulating spike protein detected in post-COVID-19 mRNA vaccine myocarditis

(COVID-19 メッセンジャーRNAワクチン接種後の心筋炎患者で検出された血中循環スパイクタンパク)

Circulation  (Original research article) 2023; 147: 00-00. DOI: 10.1161/ CIRCULATIONAHA. 122.061025

https://climate-science.press/wp-content/uploads/2023/01/CIRCULATIONAHA.122.061025.pdf

 (アクセス日: 2023年7月27日)

要旨

 われわれ(マサチューセッツ総合病院及びブリンガム女性病院が主体)は、2021年1月から2022年2月の期間に胸部痛を有する16症例のSARS-CoV-2ワクチン接種後心筋炎患者の血液を計画的に集め、広範囲にわたる免疫プロファイリングを実施し、その結果を症状が無く健康な45症例のワクチン接種者と比較した。

 ワクチン接種した思春期および若年成人の免疫プロファイリングは、メッセンジャーRNAワクチンがもたらした免疫プロファイリングが、心筋炎を起こした個体と起こさない個体で大きく異ならないことを示した。

 しかし、ワクチン接種後に心筋炎を起こした症例の血液においてのみ、抗体と結合していないフルレングスのスパイクタンパク(33.9±22,4pg/mL)を見いだした (unpaired t test; p<0.0001)。一方、ワクチン心筋炎を起こしていない対照例の血液では皆無であった。

当会議コメント

 メッセンジャーRNAワクチンが、ドラッグデリバリーシステム (DDS)でリポゾームナノ粒子に包まれ体内に入った後、メッセンジャーRNAに関連するスパイクタンパクがどのような影響をもたらすかは、ワクチン接種の安全性と有用性にかかわる重大な関心事である。一般的に、有害事象と医薬品やワクチンとの因果関係については、まず症例報告研究での問題提起がなされ、その後の研究データの蓄積でより真実の姿が明らかになる。感染症ワクチンは健康人に接種されるものだけに、より透明性のあるデータ蓄積が重要である。メッセンジャーRNAワクチン接種と心筋炎との因果解明を含め、今後の研究に注目したい。

 なお、この論文で見過ごせないのは、研究の結果はCOVID-19に対するワクチンのリスク・ベネフィット評価を変えるものではないとする「結論」である。このような「結論」の記載は、メッセンジャーRNAワクチンだけでなく、HPVワクチンに関する論文においてもしばしば目にする。ワクチン接種に疑問を呈する記載があっては、査読がとおらないと述べる研究者もいる。厳しく監視していきたい。(T)