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【注目情報】WHO の必須医薬品 (Essential Medicines) リストの改革~必須だが入手可能性に問題のある医薬品をどう扱うか

原文

Reforming the World Health Organization’s Essential Medicines List、Essential but Unaffordable (世界保健機関(WHO)の必須医薬品リストの改革、必須だが手ごろな価格ではない)

JAMA  Published online 2022年10月24日

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2797965

JAMA November8.2022 Volume 328,Number18 1807~1808

要旨

 WHO必須医薬品モデルリストは、優先的な公衆衛生ニーズにとって最も効果的で、安全で、重要であると考えられる医薬品を強調している。1977年の最初の発行以来、必須医薬品リストは、世界中の医療システムにおける新薬の普及と保険償還を形作ってきた。このリストは、フォーミュラリー作成のための自主的なガイドラインであり、リストに含まれている医薬品による治療法を広く入手可能で手頃な価格にすることを目的として作成されている。

 しかし、リストに含める医薬品の選択は、市場に参入する新薬の価格高騰によってますます複雑になっている。2021年に公開されたリストでは、肺がんに対する免疫チェックポイント阻害剤などいくつかの医薬品が、生存率向上などの有効性は認められるものの、「多くの患者や医療システムにとって持続不可能な支出になる」という財政的な理由からリストへの追加が却下された。

 高額すぎる医薬品による公衆衛生上の問題は、今後数年間でますます拡大する可能性が高く、WHO必須医薬品モデルリストの更新をさらに困難にするだろう。どの薬を必須とみなすかの新しいアプローチが必要である。著者らは臨床的レビューと経済的レビューを分離して行うこととともに、医薬品価格を安くする仕組みと調達の仕組みについての作業を強めることを提案している。

当会議のコメント

 2015年 WHO は C型肝炎の画期的な新薬ソバルディや抗がん剤ハーセプチン 、グリベックなど先進国でも高価すぎることが問題となっている医薬品を必須医薬品リストに加え注目された(※1)。高価薬をリストへ加えることは、「低価格化への圧力」となり、実際、ソバルディはその後、ライセンス契約のもと低所得国では高所得国の10分の1以下で入手できるようになった。2019年の改定では、いくつかの高額な先進的抗がん剤が追加され、免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボがはじめてリストに追加された。しかし、オプジーボは悪性黒色腫には認められたが、肺がんに対しては認められず、2021年の改定でも同様の評価となった。

 免疫チェックポイント阻害剤は肺がん以外の固形がんに対しても、標準治療薬として位置づけられていくと思われるが、高額すぎることが今後益々大きな問題となっていくことは間違いない。

 適切な必須医薬品リストがこれら薬剤の「低価格化への圧力」になることを期待したい。同時に、近年WHOは製薬業界からの圧力を強く受けるようになってきており、WHO必須医薬品リストが本来の意義や目的からはずれることがないかに今後注意していく必要もあるだろう。(G.M.)

 

※1

WHO必須医薬品リストが19版の更新、C型肝炎治療剤などをリストアップ(2015-11-17)

https://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=442