原文
Disposizioni in materia di trasparenza dei rapporti tra le imprese produttrici, i soggetti che operano nel settore della salute e le organizzazioni sanitarie ( 保健分野の生産者企業、関係者、保健機関の間での関係の透明性に関する規定 )
Gazzetta Ufficiale (官報) 2022年5月31日 法律第62号 発効日: 2022年6月26日
要旨
イタリアのサンシャイン法の主な内容は、①国民の健康保護のための透明性の強化、②健康分野で事業を行う団体・個人などに情報公開を求める対象の拡大・明確化、③情報公開を怠った場合の罰則の強化の3つである。
このうち、②については、製薬企業に限らず、広く健康分野に関する事業を行う団体・個人と保健機関の経済的関係に関する国民の知る権利を保障するものであり、開示すべきものには、現金、物品、役務の契約と支出、保有株式、有価証券、債券、産業財産権や知的財産権からの収入、その他生産者の利益を生む広範な活動が含まれる。
また、③は、製薬企業が繰り返し情報公開を怠った場合は公的な場で公表され、自社のウェブサイトのトップページに掲載せねばならない。金銭的制裁も課せられる。イタリアサンシャイン法は保健省に制裁の実施について管理機能を果たすよう求めている。
当会議コメント
製薬企業の医師への支払いが医師の処方に影響することは多くのエビデンスで明らかにされている (※2)。米国の「Sunshine法」(※3)は各国に広がったが、製薬企業はこの法律による情報公開を逃れるために資金提供を間接的に行うことが問題となっている。
今回紹介したイタリアのサンシャイン法は、非常に具体化されており、規制の対象が米国と比較しても製薬企業にとどまらず、健康分野で働く人、学会、協会、患者会、財団など個人か団体かを問わず広範に含む点に特徴がある。また公表の必要な対象も広範囲である。
情報公開を怠った場合の制裁については、罰金の強化だけでは企業の姿勢を変えるには不十分なことが知られており、イタリアサンシャイン法の企業の姿勢を変えるための多角的な取り組みが注目される。
一方、日本においては、臨床研究法の利益相反規定を除いて、製薬協の定めた「透明性ガイドライン」による自主規制に留まっているのが現状であり、また公開方法は各社ばらばらで国民にとって簡単に閲覧できるものとはほど遠く、罰則もない。今後はイタリアのような実効性のある法制化を目指すべきである。(CT,&T)
参考文献等
※1 イタリア共和国憲法 第32条 (日本語版) p19
https://www.senato.it/sites/default/files/media-documents/Costituzione_lingua_giapponese_0.pdf
※2 製薬企業の医師への支払いと処方頻度との関係 (BMJ誌)(注目情報 2016-11-22)
https://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=472
※3 米国でサンシャイン法による医師への支払いデータ公開がスタート(注目情報 2015-02-19)
https://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=423
※4 伊当局が企業からの資金を安全性監視などに活用(注目情報 2005-06-28)
https://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=92
(以上のURLへのアクセス日はいずれも2023年4月9日)